10月13日から23日まで、東京・池袋で開催された「香港ミニチュア展」では、香港ならではの光景や大切にされている伝統を描いた計39点のミニチュア作品が展示されました。一部をここで紹介します。
大坑舞火龍 - 大坑村の火龍の舞い(黎熾明)
香港島の銅鑼湾(コーズウェイ・ベイ)にある大坑村の住民は毎年、中秋節には火龍の舞いをすることで平穏に過ごせるよう祈願してきた。この作品は、1970年代の様子を再現したもの。巨大な火の龍は100人ものミニチュアの男たちによって舞い踊っている。龍にはランプが光るとしっぽが揺れるという精巧な細工がしてある。
唐楼 - 中国式の低層建築(黎熾明)
「唐楼」とは近代初期に中国南部でよく見られた様式の建築物であり、3~4階建てで1階は商店、2階以上は住宅となっているものが多い。西環の海沿いに建つ唐楼を題材としたこの作品には、衣食住および交通という生活の4大要素が含まれている。
報紙檔 - 新聞・雑誌の売店(蔡璧龍+何国添)
1960~70年代、新聞や雑誌、タバコを買いたいなら、飲茶の店に行けばよかった。店の前には必ずと言っていいほど、「報紙檔」があったからだ。店に入る前に新聞を買い、飲茶をしながら読むのが当時定番のパターンだった。現在、飲茶レストランの多くはショッピングモール内に移転し、「報紙檔」もコンビニに取って代わられている。
金記鐘錶 - アンティーク時計店(李嘉蓮)
地価が高い香港では、階段下の小さなスペースでもアンティーク時計店を開くには十分だ。1950~60年代には、職人に弟子入りして技術を身に付けようとする若者が少なくなかったが、時計の修理もそうした技術の一つである。狭く薄暗い店の中で職人は、熟練した技術でルーペを扱い、30年間使ってきた作業台に身をかがめて、なじみ客や近所の人たちのために動かなくなった時計を一つ一つ修理する。