ニュースリリース
財政長官は予算演説で経済発展の促進および市民生活の支援を約束
曾俊華(ジョン・ツァン)財政長官は本日(2月27日)、その予算演説で、経済発展を促進し、人的資本とインフラおよび市民生活関連事業に投資し、将来の課題に備えた計画を立てることを誓った。
財政長官は、行政長官が先月の施政方針演説で発表した政策を裏打ちするための予算として600億ドル(単位は香港ドル。以下同様)を割り当てた。これらの政策は、経済発展、人的資源の活用、インフラ、および市民の暮らしといった主要分野に関わるものである。
財政長官はまた、経済成長の促進、未来への投資、雇用機会や市民生活の改善を目指す諸政策を提案した。
「予算に盛り込まれた一連の政策は、経済成長率を1.3ポイント引き上げる効果をもたらすだろう」と長官は述べた。
財政長官は香港の2012年の経済成長率は1.4%であったと述べた。これは過去10年間の平均である4.5%を大きく下回る。2013年の成長率は1.5~3.5%と予測した。
財政長官は、経済の短期的変動に対処し、購買力を保持し、雇用市場を支援する、一連の景気対策措置を発表した(別のプレスリリースも参照)。
330億ドル相当の負担軽減措置は中間層、草の根層、および中小企業の負担を軽減する助けとなるだろうと長官は述べた。
社会福祉、教育、医療は引き続き政府の主要な支出項目である。この3つの分野における経常支出は2013~14年度に合計1700億ドル、政府経常支出の60%近くになると見込まれる。
財政長官は、貧困委員会が現在の社会福祉制度の不備を補完し貧困問題を緩和するため、コミュニティケア基金に150億ドルを支出することを提案した。この追加予算は、元の50億ドルと合わせ、年間10億ドル以上の投資収益を生み出すことが見込まれる。
医療について、財政長官は4400万ドルを病院管理局に追加支出し、2種類の化学療法薬剤を医薬品リストに追加し、進行したのパーキンソン病とがんの治療のための2種類の特殊な薬の臨床応用を拡大する。
また、80億ドルを投じて葵涌病院を再開発し、精神病患者へのケアと支援を強化するとも述べた。
財政長官は香港の支柱産業、つまり貿易・物流、観光、金融、専門サービスの発展を支援する政策を打ち出した。
その中には、屯門と青衣の物流拠点建設用地の確保、大樹湾に全天候型ウォーターパークを建設するためのオーシャンパークへの23億ドルの融資、資金および資産管理センターとして香港を発展させるための税優遇策、100億ドルを超えない規模のインフレ連動型債券(iBond)の発行などが含まれる。
また、財政長官は、海運と空運の人材訓練基金を設立するために1億ドルを支出することを提案した。
被雇用者再訓練局に持続的かつ安定的な資金援助を提供するため、同局向けに150億ドルを割り当てることが提案された。
教育は単一項目としては最大の支出項目であり、2013~14年度の支出は630億ドルにのぼる。これは同年度の政府経常支出の5分の1以上に相当する。
また、語学基金に50億ドルを支出し、市民が2カ国語、3カ国語を話せるようになることを促す各種のプロジェクトや活動に資金を提供することを提案した。
さらに、香港の優秀な学生が海外の有名大学で学べるよう、政府奨学金基金に4億8000万ドルを追加で割り当てた。奨学金の受給者は卒業後、香港の学校で教職に就くことを約束する必要がある。
インフラ整備を通して経済成長を促進し、生活の質を改善するため、2013~14年度の社会基盤整備支出は700億ドルを超える見込みだと財政長官は述べた。
住宅と商業不動産開発のための土地を十分に供給するという政府の方針に基づき、28の新規用地を含む46の敷地が2013~14年度の土地売却計画に含まれると長官は述べた。
「四半期ごとに前もって政府の土地売却計画を発表するという慣行を継続し、市場の需要に従って住宅用地を柔軟に提供する」と長官は述べた。
2013~14年度の土地売却計画には、9つの商業/ビジネス用地、および1つのホテル専用用地を含む。これにより、それぞれ床面積約33万平方メートルのスペース、および300の客室が提供される。
長官は今年、新築の集合住宅2万4000戸が売りに出される見込みであると述べた。
長官はまた、新たな開発区の造成と洞窟開発のため、適切な規模におけるビクトリア湾外部の埋め立てに関する研究と設計を実施し、開発事業を開始すべく、今後5年間に45億ドルを割り当てると述べた。
先月の施政方針演説で発表された環境政策への予算も盛り込まれた。100億ドルを投じて旧式のディーゼル商用車を徐々に廃止するほか、環境自然保護基金に50億ドルを支出する計画である。
財政長官によれば、2012~13年度予算では約649億ドルの黒字が見込まれる。
これは主に法人税と諸収入が当初見積もり額を248億ドル上回ったと同時に、土地売却収入、印紙税、西鉄不動産開発社からの配当が当初見込みより増えたためである。
2012~13年度の政府収入の修正見込み額は4455億ドルであり、当初見込みを552億ドル上回る。3月末の財政余剰金は7340億ドルとなる見込みである。
2013~14年度について、財政長官は49億ドルの小額の赤字を見込む。2014年3月末の財政準備金は、20カ月分の政府支出に相当する7291億ドルが予想される。
財政長官は、香港は欧州と米国の金融危機から重大な教訓を得るべきであると述べた。
「支出過剰に起因する莫大な負債により欧米諸国は深刻な金融危機に陥り、その結果として、大胆な緊縮財政に舵を切らねばならなかった」
「香港はここから教訓を得なければならない」
「われわれは収入の範囲内に支出を抑え、必要な分野に適切にリソースを割り当てるという効果的な財政管理と財政原則を保持しなければならない」
「支出をむやみに増やすことは、次世代に重い負担を残すだけである」
香港の人口高齢化は、長期的には準備金を枯渇させ、香港の低率で簡潔な税制に変更を迫りかねないと長官は警告した。
「高齢者の増加、労働力人口の縮小、納税者の減少、経済成長の減速に伴い、税制が現状のままでは、政府収入が大幅に低下することが見込まれる。一方、福祉および医療支出は急増し、政府は財政の均衡を図れなくなる恐れがある」
「準備金を切り崩して増加する一方の経常支出を満たし続けることはできない」
「人口高齢化への対応、および政府の長期的政策遂行のためのより包括的な財政計画を策定するためのワーキンググループを財務庁の下に設立する」と長官は述べた。
以上