ニュースリリース
財政長官、世界経済の不確実性が2016年の経済成長に影響を与えると発言
曾俊華(ジョン・ツァン)財政長官は本日(2月24日)、その2016~17年度の予算演説において、世界経済の不確実性により2016年の香港の経済成長率は1~2%にとどまる見込みだと述べた。
米国の金利正常化のペースが不確定であること、金融市場の不安定性の高まり、先進諸国の小幅な経済成長、新興国市場の低成長、来訪旅行客数の落ち込み、輸出の鈍化等のすべてが経済成長の見通しに影を落としていると長官は述べた。
長官は、香港経済の2015年の経済実質成長率は2.4%となったと述べた。10年平均値である3.4%を下回ったのは今回で4年連続である。
2015年の基調インフレ率は4年連続で低下し、2.5%となった。2016年は輸入物価の下落と香港域内のコスト圧力の緩和から、基調インフレ率はさらに低下して2%となることが見込まれる。
2015年の平均失業率は3.3%であったものの、昨今の来訪旅行客に関連する部門における停滞は懸念材料だと長官は述べ、2015年第4四半期の来訪旅行客数は前年同期比8%減少し、小売業の年間販売数量は2009年以来初めて減少したと指摘した。
財政面では、政府は2015~16年度に300億ドルの黒字を予想し、2016年3月末の財政余剰金は政府支出の24か月に相当する8600億ドルを見込んでいる。
2015~16年度の財政収入は、当初見込みを200億ドル(4.2%)下回る4570億ドルだった。これは主に投資利益から住宅準備金へ450億ドルを移し、その残高を740億ドルとしたこと、および各種収入の変動のためである。
給与所得税収と法人税収は当初見込みを170億ドル(8.9%)、印紙税は140億ドル(28%)上回った。土地売却収入は当初見込みを80億ドル(11.6%)下回った。これは計画通り土地売却が進まなかったためである。
修正された支出見通しは4270億ドルであり、当初見通しを140億ドル(3.1%)下回った。これは主に、官民連携事業に基づく病院管理局への100億ドルの支出が、2015~16年度中には財務委員会での討議が完了せず、実行されないと考えられるためである。
2016~17年度の政府総支出は4900億ドルが見込まれる。そのうち3800億ドルが経常支出であり、1100億ドルが非経常支出である。非経常支出のうち790億ドルは公共事業に支出される。公的支出はGDPの21.2%相当となる。
2016~17年度の政府収入は5000億ドルが見込まれる。主な内訳は、個人所得税と法人税が2060億ドル、土地関連収入が670億ドルである。
2016~17年度の総合勘定の黒字額は110億ドル、2017年3月末の財政余剰金は政府支出の21カ月分にあたる8700億ドルが見込まれる。
財政長官は、中期的な経済実質成長率は3%が予想され、2017年から2020年の基調インフレ率は2.5%となることが予測されると述べた。
「2018~19年度と2019~20年度の総合勘定の収支は赤字が予想される。これは、主に医療改革と退職後保障のための予算割り当てを反映したものである」
「全体として、中期的な政府の財政ポジションは引き続き健全である」
2021年3月末の財政余剰金は、政府支出の18カ月相当の8350億ドルに達する見込みである。
ツァン長官は、財政余剰金は香港ドルの安定性を確保し、景気循環と人口高齢化がもたらす諸問題に対応していくための経済の支柱であると述べた。
しかし、これには3000億ドルの進行中の事業や8000億ドルの法定年金といった、すでに約束した支出は考慮されていない。
「財政の健全性を保持し、起こりうる脅威に対処するには、慎重な財政運営を行い、収入の範囲内でやっていかなければならない」と長官は述べた。
「予想される構造的赤字から生じる問題に取り組むため、余裕のあるうちに準備すべく、財政余剰金の一部を原資として、長期投資のための未来基金を設立した」
「香港金融管理局に対し、財政余剰の一部を構成する土地基金から2200億ドルを未来基金の初期資金として拠出するよう指示した。これに加えて、2015~16年度の実際の財政余剰金の3分の1を未来基金に注入する。」
「香港金融管理局はより多くの利益を達成すべく、未来基金の半分を外為基金の長期成長ポートフォリオに組み込む」
長官は今回の予算の準備に当たり、特に香港の長期的ニーズを考慮したと述べた。
それは例えば、公共住宅の開発を支援する住宅準備金の設立、10年間にわたる病院開発計画への2000億ドルの割り当て、長期投資戦略の一環としての未来基金の設立などである。
以上