香港特別行政区の曾俊華(ジョン・ツァン)財政長官は2月26日、「競争力」をテーマに掲げた2014 ~ 15年度政府予算案を発表しました。
曾財政長官は香港の競争力を高め、経済成長を維持し、事業環境を改善し、雇用機会を増やすとともに、政府財政の健全性を保つための一連の施策を打ち出しました。
激しいグローバル競争の中で一歩先んじるには、国際ハブとしての香港の地位を強化すると同時に、産業の発展を促し、人的資本、土地資源、高齢化社会といった発展の制約を克服し、政府財政の持続可能性を確保しなければなりません。
輸送・交通網の拡充および香港の国際ハブとしての地位強化のため、政府は香港国際空港における第3滑走路の建設計画を進め、また近隣地域との接続性を高めていきます。空港中央部の開発プロジェクトは2015年の完了を予定しており、これにより20機分の駐機スタンドを備えた旅客コンコースやその他の付帯施設が新設されます。
一方、金融サービス、そして主要なオフショア人民元業務センターとしての香港の役割に関して、香港は引き続き中国と諸外国との橋渡し役を務めることで、人民元の国際化に向けた中国の取り組みをサポートしていきます。また、香港においては、人民元による貿易金融や人民元建て金融商品の提供などのサービス強化を図ります。
香港の資産管理ビジネスは飛躍的な成長を遂げており、現在アジアナンバーワンの地位を築いています。これをさらに後押しするべく、政府はすべてのETF(上場投資信託)取引について印紙税を廃止し、香港におけるETFの発展・運用・取引の推進を助けます。
さらに、観光地としての香港の受け入れ能力と魅力を高めようと、政府は旧空港跡地に位置する啓徳ファンタジー地区を、ホテルが集積する世界クラスの観光、エンタテインメントおよびレジャーの一大中心地へと発展させる計画です。総額9,500万香港ドルの予算を香港政府観光局に割り当て、コンベンションや展示会の開催を奨励するほか、すでに人気を博している定番イベントに新たな要素を加えていきます。
曾財政長官はまた、社会の各層に向けた200億香港ドル(約2,660億円)分の負担軽減措置を発表。加えて、高齢化と労働力の減少が進むなか、政府の財政計画における戦略の概要を説明しました。
本予算案に盛り込まれた施策のGDPに対する効果は、0.7%と予測されています。2014 ~ 15年度の収支は91億香港ドルの黒字となり、財政準備金は政府支出の22カ月分に相当する7,550億香港ドルに達する見込みです。
より詳しい内容については、本文6、7ページおよびウェブサイト(http://www.budget.gov.hk/2014/)をご覧ください。